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  • 執筆者の写真Hiromi

あるにとどまる

 師走を迎えました。昨日の朝起きてすぐ目に飛び込んだのは真っ白な雪景色。これから数ヶ月続く長い冬の始まりです。


実家のお風呂のシャワーの水圧が強くて、昔ちょっとだけ住んでいたロンドンの弱々しいシャワーや、シャワーさえ使えないこともあるインドでの日々を思い出しました。


 インドではお湯が出ないところもあるし、バケツや桶に水を溜めて身体を洗ったり、停電もよくある事で、慣れて来ると「ああ、またか。」という感じになりました。

こういう体験をすると、水道やガスが当たり前に使えることのありがたさを痛感するし、「日本って本当に住みやすい国だな」と思う。


そして「これからは資源の無駄使いをなるべくしないように気をつけよう。」と、心に誓う。でも、ほんの数日後、別の滞在先でシャワーが使えたり、蛇口からお湯が豊富に出ると、あの誓いはどこへやら・・・。 


さらに日本に戻り、温かいお風呂に浸かると、「こんなこと、できない環境にある人もたくさんあるんだよな」と、後ろめたさを感じながらも、徐々に、いつもの快適な日常に戻ってしまう。



そう、人はすぐに忘れてしまう生き物。


 サントーシャということばがヨーガの教えにも仏教にもあります。「足るを知る」、「今ここに満足している」状態のことをいいます。


私たちはいつも「何か足りていない」という感覚を持ち、それを満たそうとして外側ばかりにその失われた自分のかけらがあると信じて彷徨っているようなものです。


そして何かを得たとしても、今度はそれを失う事が恐ろしくて、時に「これ以上のものがあるはず」と信じ、「もっと、もっと」とさらにゴールのない旅を続けます。


 サントーシャについて触れましたが、ヨーガ哲学について書きたかったのではありません。いつもそこにある「満足」を思い出したので書き留めたくなったのです。


媒体や方法は何であれ、何か新しい知識を分別なしに入れると、つい誰かの教えや言葉を盲信し、そこに絶対的な価値をおき、物事を判断してしまいがち。


ネットの情報などの根拠が明らかではないものもそう。そして否定的な感情や、攻撃的な感情に乗っ取られ、自分を責めたり、他人を批判してしまったり。


 繰り返しますが、人はすぐに忘れてしまう生き物です。


そんな自分にも、他人にも、「そういうこともあるよね。」と、思いやりを持ってその弱さに”共通の人間性”を感じて行けたら、もっと楽になるのではないでしょうか。

 

 ジョン・カバットジンの著書、マインドフルネスストレス低減法に、


『あなたは誰かのようになることはできません。人は、”より自分らしくなる”ことしかできないのです。』


という一文があり、これを読んだ時に折ったページの端を頼りに、その後も時々この部分を読み返していました。


「自分らしいってなんだろう」と問い続けた何年か後に私は「自分自身を知る」学びであるアーユルヴェーダに出会い、そしてヴェーダーンタに出会い、今もその旅の途中です。


そして旅の途中でいま見えている景色は「あるにとどまる」こと。


怒りの中でも、嫉妬の中でも、悲しみの中でも、どんな時でも「こんな自分もあるよね。

でも大丈夫、それは私の中の感情のほんの一部であって、ずっと続くものではない。

今はその感情がここにあることを認めてあげよう。」と。


 伝統的なヨーガの学びの中では、私たちは「在る」、ただそれだけで満ち足りた存在なのだといいます。意識とは、本来なにもかけたところがない、完璧でそれ自体が満足の意味なのだと。


存在(sat) ー 意識(chit) ー 満足(ananda)


 さらに旅を続けて行くと、見える景色は変わるでしょうか。私も、私の周りの景色も、本当はなにも変わりません。ただ、認識が変わり、見える景色が変わるのです。


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